スペイン・バスク地方にある人口一八万人の小さな街、サン・セバスチャン。
いま、ここは世界中から美味しいものを求めて人が集まる「美食世界一の街」
として知られる。
かつては高級保養地として知られたが、世界遺産などの観光資源もとくになかった
ため、この地を訪れる観光客は低迷していた。そんな街がなぜ、たった10年ほど
で変われたのか。その背景には、美食を売りに出す徹底した地域戦略があった。サン・セバスチャン
では、あたかもシリコンバレーがIT産業に特化したように、料理を知的産業として
売り出そうとしているのだ。
製造業だけでは限界にきている日本の活路は観光業にある。そうしたなかで、世界
を旅する高城剛が、いまもっとも注目する街が、ここサン・セバスチャンである。
日本が観光立国となるために、サン・セバスチャンに学ぶことが多くあるはずだ。冒頭より
(引用:http://blog.honeyee.com/ttakashiro/)
高城さんの新書を先日購入し、あっという間に読了。この本は冒頭の説明にあるように、スペインのサンセバスチャンという街について書かれた本だ。なぜ、この小さな都市が世界有数の美食の街になったのか、また、そこから読み取れる観光戦略のあり方について詳しく書かれている。
僕がこの本を読んだ目的は、3つ。1つ目は単純にこの街に興味があったこと、2つ目は、この街がどの様に、観光地として推移していったかを知りたかったこと。3つめは、本書の内容を元に、日本の観光戦略に関して学べる事があるんじゃないかと思ったこと。個人的にかなり良書で、読書メモがてら、ブログに記録しておこうと思う。
こんな人におすすめ
・スペインに行ってみたい人
・食に関心がある人
・観光業に興味がある人
読書メモ
・新しい技法やレシピをお互いに教えあい、また、伝統にとらわれず、旅をして見つけた世界中の食材や調理方法を取り入れ、見たこともない料理を次々と創り上げた。結果として、一斉に食文化、食のレベルが上がった。
・食べるということにストーリーを付与する。
・目的地の観光インフラが、膨大な旅行者数を受け入れられるかどうかが、今後の観光産業の唯一の懸念材料になると言われている。
・インバウンド数とアウトバウンド数は、比例する。
・日本の観光の問題点は、2つ。物価の高さと、PRなどのコミュニケーションを含む、国際感覚を持った外国語への対応の不足。
・スペインの、気分としての国外観光のハードルの低さ。福岡の人にとって、韓国みたいなもの。
・観光地としてのポジショニング。スペインは物価が安く、暖かくのんびりした土地。日本は?
・スペイン南部のそれぞれの街が、特定の国をターゲットに、そのニーズに応じているように特化している。
・バロセロナの観光戦略で最も大切な事は、「観光客と市民が一体となっていること」お客様扱いせず、遠くからきた友達のような感覚で。観光客に媚びない。
・Creative Cities Network, 例)金沢、名古屋
・弱点(特異性)を売りにする。「雨が多いこと」→「グリーンスペイン」
・まるで科学のように作られた料理、分子料理。サンセバスチャンの新たなレシピは、研究室から生まれる。
・世界一の料理を公開したエルブリ。レシピのオープンソース化。
・食の世代分化を目指す、インターナショナルな料理学校、4年生の料理大学が設立される。
・一見、離れて見える食と経済は、密接な関係がある。食と国の評価。
・料理のミニチュア化
・国家の一大産業として、料理を知的財産にし、知的産業として輸出する。
・観光の成功は、世界の中での自分たち(土地)を知ることから。その上で、伝統な味を守りながら、今の時代にあうように再提案する。
・他国の階級(ターゲット)を知る。日本にいると階級の存在に気づかない。
・日本にはトラベルジャーナリズムがない。タイアップ記事と、広告の塊。
大体1時間〜1時間半程度読めてしまう内容。内容も分かりやすく書かれていて、勉強になる点が多く、実際にサンセバスチャンに行きたくなった。スペインにいく前に、この本を読んでいたら絶対行ってたな、と。
個人的に特に気になったのが、「料理を知的財産にし、知的産業として輸出する。」という文章。完成した料理を輸出するだけでなく、文化として輸出するという点が、とても興味深かった。ただ、具体的にどの様に輸出していくかに関して記述されていなかったので、メルマガにて質問してみようと思う。